Comment

この映画は、彼らの人生の一瞬を見たにすぎません。
物語の幕が下りても、岸本くんも、香山くんも、祥子さんも、
今もどこかで泣いたり笑ったりしているような気がします。

桜井美奈さん(作家)

効率が重視される昨今、いつの間にか人々は仕事と時間に追われ、自らの良心を顧みる機会を失ってしまったように思います。
この映画を通じて感じるのは共感かも知れませんし、もしかしたら軽蔑、あるいは無関心かも知れません。
その感情に善し悪しはありません。
この映画は自らの良心の声に耳を傾ける時間を素朴に提供してくれます。
その時間こそが人生を豊かにしてくれるのではないでしょうか。

山崎聡一郎さん(「こども六法」著者、ミュージカル俳優)

心の痛みを、本当に痛みとして感じさせる映画。共感というより、自分の心の痛みのように揺さぶられていく。
子供たちの素晴らしい演技。痛みの先にある、心を打たれるラスト。
初めての長編映画とは思えない、すごい演出力だと思う。

大谷健太郎さん(映画監督)

私の出身校と同じ、広島城北高校の卒業生が映画を作ったと聞いて、嬉しくなった。
呉の風景の中で撮られた映画に温かく胸がほぐされ、手作りの映画、手探りの演技に熱くなった。
世界には様々な映画がある。しかしどこかでみんな、いつか故郷でこんな映画を作りたいと願っているのではないだろうか

佐藤信介さん(映画監督)

主人公の少年二人をつなげているのは、「友情」と言われるものとはちょっと違うようで、図書室の先生が主人公たちに向ける眼差しは、どこか「友情」に近いもののような気がする。 すこし「いびつ」な関係で結びついた三人の物語。 いびつでカッコ悪くても、人はつながることができて、そんな瞬間に救われることがあるんだと、改めて気付かされた。

吉野竜平さん(映画監督)

迫田さんの映画には、いつもどこか行き詰まって彷徨う人々が映し出されている。
日常の中にあるささやかな幸せと背中合わせの過酷。
その視線は奇をてらう事なく、距離を保って優しい。
僕は彼の映画が大好きだ。

石川学さん(シナリオライター)

素敵な映画です。 家族が一番の居場所だった子供時代。
やがて、他者である大人へ興味や尊敬を抱き、触れ合いを求めて成長していきます。
映画ではその思春期直前の一瞬の季節が描かれていました。
迫田監督は呉の街の空気の中で少年たちと大人との心の触れあいを丁寧に描いています。

廣田正興さん(映画監督)

じんわりと心に響く映画でした。岸本君も香山君も祥子さんも、各々悩みを抱えていますが、そのことを強調することなく、彼らを真っ直ぐに見つめていることで、彼らと一緒に泣き笑い出来たと思います。奇を衒わない描き方は、簡単なようで一番難しいと思います。今、必要な映画は、こんな映画だ、と思いました。

本田孝義さん(映画監督)

少しトゲトゲしている今の時代だからこそ、この作品に出会って欲しい。 不器用で懸命なやさしさが、きっと、スッと心に届くから。 人にも、自分にも、やさしくしたくなる映画です。

ふくだみゆきさん(アニメ・映画監督)

病んだ社会、マトモな人、とくに優しい人、とくに誠実な人ほど病んで当然の今の社会で、心優しい孤独な社会的弱者を丁寧に見守る、共感する、そして、希有な温かいネットワーク…、ことばになりませんが、愛と優しさに満ちた大変な作品だと思いました。

貧困、孤独、イジメ、差別、DV…その辛さのありようは多種多様ですが、どんなに不幸でも、どんなに孤独でも、絶望しなくてもいいんだよ、と語りかけてくれるようです。

異質な弱者同士の間で生まれるかもしれない勇気のある優しく強い“連帯”、ラストシーンで流れる涙は上質でした。今日の社会、こんなことがあってもよい、こんなことがあってほしい、いや、私たちが無関心ではなくそれを生み出していかなければいけない、そんなことを諭し励ましてくれる極上の映画でした。

ときおり微かに響く呉港の霧笛が、何とも言えません。

佐久間勝彦さん(聖心女子大学・名誉教授)

迫田監督の作品に一貫して通底する弱いものへの愛を感じた。作品には、三人の主人公たちがそれぞれが現実を生きる上で背負っているイタミを受け入れながら、次のステップへと必死に向かおうとする姿がリアルに描かれている。イタミを抱えている人間だからこそ、その寄り添おうとするやさしさが胸をうつ。ロケーションは監督の故郷広島県呉市で行われたという。映画を観ながら、私はかねてから知っている迫田監督自身を思わざるおえなかった。呉のきらめく海、その海に浮かぶ黒い船、すり鉢状の街とその街を突き抜ける坂、そして円形の小学校。そこに迫田少年は生まれ、生きていたという現実が作品とダブってしまうのだ。エキストラの子供達と、おそらく地元の人々の存在感はそこに生きてきた人間ならではのものだ。自分の故郷を撮る。それはたった一度だけの甘えだと思う。本作を背負って次回作に向かう迫田監督にエールを送る。

五十嵐匠さん(映画監督)

多文化共生社会とか多様性に寛容な社会とか言われているけれど,実態は他者に無関心で,自分の安寧を脅かすものは徹底的に非難し排除しようする言説が渦巻くこの今の時代。そんな時代に,「他者と共に生きる」とはどういうことなのだろう。
人は一人では生きられず,だからしんどい思いをしながらもこの社会の中で生きていくしかないなら,自分という一人の人間が,イマココに居ることの意味はどこにあるのだろうか。その答えは,きっと「誰かを愛し,誰かに愛されること」の中にある。
『君がいる、いた、そんな時。』は,自分もその愛の中にある,ということを感じられる映画である。
ひとりぼっちで寂しいと思ったり,生きることに疲れていたり,自分にはこの社会に生きている意味などないと思ったりしているなら,この映画を見て,「自分が自分であること」を受け止め,引き受け,また明日から生きることを楽しんでほしい。
そんなふうに見たことも会ったこともない「この社会で共に生きる人」の幸せを願わずにはいられない映画であった。それは私自身もまたその愛の中にいるということなのであった。

名嶋義直さん(琉球大学・教授)

子供たちの感情と、舞台となる街の風情がみごとに絡みあっています。 淡い恋の話でもあり、勇気の話でもあり、大切な何かがいっぱい詰まった作品です。
子供たちの視点から見えてくるこの社会の、そこに生きる人間の抱える問題の数々が、だからこそ大人の私の視線の中に優しく、じんわりと、それでいてくっきりと描きだされていきます。 だからこそ、『君がいる、いた、そんな時は。』は今を生きるすべての大人が観るべき青春映画なのです。

武田倫和さん(映画監督)

友達に意地悪を言ったり、言われたり、
親の都合に振り回されたり、環境を嘆いてみたり、
家庭と学校がすべてだった子供時代。
この図書室のような、心やすらぐ特別な場所が私にもあった気がする。
「君がいる、いた、そんな時。」
あの頃の小さな世界があるから、今の自分がいて、君がいる。
泣きながら、笑いながら、支え合いながら生きてきたことを、
生きていきたいことを、この映画は思い出させてくれた。

宮下美奈さん(ライター)

それぞれが密かに苦しみを抱えながら、喪失感、混乱、裏切り、羞恥心の中で尊厳を見出そうとする二人の生徒と司書が織りなす、独創的で感動的で痛快な物語。笑いあり、ごまかしあり、公私ともに過ちありの友情の旅は、最後の危険を冒して、耳を傾けることでしか見つけられない贖罪に向かって進んでいきます。 ベスト・オブ・フェスティバルのコンペティション部門に出品されており、見逃せない作品です。

リール・ディール映画祭(アメリカ)


“An original, moving and poignant story of two students and a librarian, each secretly living their own painful chapter, trying to find dignity amidst loss, confusion, betrayal and shame. The journey of their friendship passes by laughter, deceit, and mistakes both public and private, until in one final risk, they move toward the redemption that can only be found by being heard. In Competition for Best of Festival and not to be missed.”

Reel Deal Film Festival at The Hub on Canal